2022-01-01から1年間の記事一覧

一本の桜の樹の下で

一本の桜の樹の下で 夕暮れの光迫町北方に江戸時代の安永風土記(1777)にも載っている「山王の桜」という桜がある。安永期でも巨木だったのだから風土記にも載ったわけで,そこから数えても245年も経っている。ざっと800年は経っているこの辺でも一際古い桜…

茂吉の一本道

茂吉の歌 雪解けを迎えて 栗駒山斎藤茂吉の自選歌集「朝の蛍」(昭和4年)を読んだ断り書きによるとこの歌どもは大正7年から大正十四年までの約6年間の歌から拾っているという。作品にすれば「赤光」から100首「あらたま」から250首選び,計350首にまとめ…

激昂する茂吉

激昂する茂吉 ブナの展葉前線上昇中 ここは標高800㍍地点で5月8日の撮影です今年もブナが柔らかい緑の葉をつけました以前に書きましたが,このブナの展葉(葉が開くこと)は一日平均40㍍ずつ標高を上げていきます。(その記事は こちら )上の写真は標高800…

さくらの部屋2022-一本の桜とともに-

さくらの部屋2022-一本の桜とともに- 一本の桜とともに-ベストセレクション-今年の一本桜も見事な花を咲かせましたそこで今日はこの一本の桜を見続けて,今までの写真から選り優りの名シーンをお送りしますお楽しみ下さい。振り返って見ると、撮影の技術…

さくらの部屋2022-天の川とともに-

さくらの部屋2022-天の川とともに- 天の川とともにというわけで合成してみた今季の満開の時期がちょうど月明かりの時期と重なっていたので,一緒にきれいな天の川は撮りづらかったのですというわけで組み合わせてみたのでした微妙に無理がありましたがイメ…

さくらの部屋2022-巡る星々-

桜の部屋2022-巡る星々- 巡る星々薄く雲が流れる夜でした

さくらの部屋2022-咲き始めの恥じらい-

咲き始めの恥じらい 4月19日撮影 ひたすら桜ですみません

さくらの部屋2022-昇る天の川-

桜の部屋2022-昇り始める天の川- 昇り始める天の川今年は花の盛りと月の出がシンクロしていて,夜空に月の懸かる夜が多かったように感じましたですから天の川が出る深夜は月の光で天の川が薄くなってしまいます今年の桜で天の川とからめる写真はこれが初め…

さくらの部屋2022-月の出の前に-

月の出の前に 昨夜4月20日撮影 月の出に桜の樹の下で会おう こんな約束をいつかはしてみたいと思っていた 月の出の時刻に合わせる生活など 今の時代には誰もしなくなってしまった しかし,今夜も月は出る 今夜会えなければ50分遅れで明日 また50分遅れてあさ…

ふくろうの鳴く静かな夜

夜の桜 以前この桜をやはり夜撮影していた時私の横をカモシカが全速力で駆け抜けて行きました。真っ暗ですから見ることはできませんでしたが,走っている時の堅いひづめの音や黒い塊の大きさなどからカモシカだと直感しました。以前に近くの藪の中でカモシカ…

さくらの部屋2022その2-変化を見届ける-

さくらの部屋2022-その2- 朝日に染まる 今朝4月19日美しく咲いた谷間の一本桜いつも咲き始めの時には私自身が焦り,戸惑う待っていたものがやっと訪れたという喜びにただ震えるままに逢いに行き,向かい合う朝も夕も夜もひたすら桜と向かい合うそして少し…

さくらの部屋2022

昨晩4月16日 今日は文学から少し離れて,桜の写真を載せます。ご了承下さい。 私にとって写真と文学はシンクロしています。桜を撮りに行くでも上手く撮れないそこで考え直してみた私は桜の何を撮りたいのだろう今年の桜の特徴はなんだろうお前はこの桜をもう…

中勘助7-夜歩く-

中勘助7-夜歩く- 夜,星を見上げる中勘助の「沼のほとり」は,雑誌「思想」に大正十一年七月から連載されました。時期的には話題になった問題作「犬」が「思想7号」に載ったその年のことです。「沼のほとり」は,大正十年一月一日から始まる日記形式の作品…

中勘助6「鳥の物語」

中勘助6-鳥の物語- カタクリ咲く4月11日何と言う暑さでしょうか。今日で4日目です。この暑さは例年ですと5月下旬の頃に感じているものですが・・・。4月の7日夜になんと珍しいハクチョウの鳴き交わす声が北へ遠ざかって行きました。一週間遅れの北帰行で…

中勘助5-水辺の自分その境界の消失-

カタクリまだ咲かず人は何かあるたびに水辺にたたずむ。水辺に立つということは自分では解しえない現実の脈絡もない筋書きを水という鏡に他人事のように写し出すためである。川や海が人の心を写し出す「鏡」となることを知っているからだ。一人つぶやきなが…

中勘助4-水辺に向かう心-

中勘助4-水辺に向かう心- 春霞の伊豆沼 昨日4月5日私が好きな絵にダビット・カスパー・フリードリヒの「海辺に立つ修道士」がある早速見てみましょう。デビット・カスパー・フリードリヒ『海辺に立つ修道士』(部分)1809-10人は水辺に立つと決して後ろを…

中勘助3「銀の匙」の伯母さん

中勘助3「銀の匙」の伯母さん 星の栗駒山への道中勘助はほぼ80歳まで生きたが,生まれた時にはそれは難産で,生まれてからも虚弱体質で,神経過敏で日にちを措かず頭痛に悩まされた子ども時代の苦労を語ったのが,この「銀の匙」という作品である。そうした…

特集 中勘助2「銀の匙」

今朝の内沼手触り,肌ざわり。触覚。そんな視覚以外の感覚をまざまざと喚び起こす読み物がある。そんな読み物に出会うと実に嬉しい。まず,谷崎潤一郎の「美食倶楽部」暗闇の部屋へ通されて女(らしい?)の指で口の中をれろれろと食前のマッサージを受ける。…

中勘助「銀の匙」

中勘助「銀の匙」 月輪舘より 春の終わりの川霧-月輪舘跡から北上川を見下ろす-罔象女ここ半月ほど中勘助を読んでいる。学生時代に「銀の匙」を読んで,その文章の巧みさに唸った。それから四,五年ほどの間は,「あなたが好きな作品は何ですか」と尋ねら…

自由への道のり

自由への道のり 栗駒山お彼岸の入り日 昨日3月22日村上龍「コインロッカーベイビーズ」(1980)肉体を振り切るためにバイクで疾走する浅田彰「逃走論」(1986)システムからの軽々とした逃避行村上龍「TOKYO DECADANCE」(1991)社会的な信用など何も期待で…

春の音

音で知る季節 内沼 昨朝3月20日 朝。日の出ももう5時40分近くまで早くなってきた 殆ど人の少なくなった水辺に立つと,意外とまだ数百のマガンが飛立って朝焼けの空を遠のいていく 夜の先程も南中近くのオリオン座を横切り,昴をかすめるようにハクチョウの一…

穂村弘「おろおろ」『シンジケート』

穂村弘「おろおろシンジケート」 穂村弘のデビュー作「シンジケート」(1990)を読んだ「おろおろ」が面白かった確かに濃いカルピスは喉につかえる咳払いすると繊維状になった「おろおろ」が出てくる主人公は「おろおろ」を知っている女だからこそ付き合うこ…

近松世話物-女殺油地獄などに見える神仏観-

皆さんは,近松門左衛門の作品ではどれが好きですか。今回読み直してみて,私は「女殺油地獄」のリアルさに心震えました。以前はただ冗長と感じたものでしたが,よく味わって読むと「女殺油地獄」は実に傑出した作品だと思いました。今回はそのストーリーよ…

夜の写真闇の文学-串田孫一-

『自然との対話のための記録』-串田孫一のことば その3- 14分の栗駒山での星の記録(オリオンから左下の金星の出まで)題名の「自然との対話のための記録」は串田孫一のエッセイの題名です。昨日の記事で,私は彼は1978年の覚書(『Eの糸切れたり』所収)…

串田孫一-夜の写真闇の文学-

からまつのはやし-詩三編- カラマツの林(栗駒山駒ノ湯上)カラマツの花(栗駒耕英地区)かわいらしい葉(栗駒耕英地区)からまつの詩を3編 からまつ 串田孫一からまつはいま 雪のなかあの秋のこがね色あの春のあの匂い 落葉松 北原白秋三からまつの林の…

3.11に寄せて2-祈り-

3.11に寄せて2-祈り- 3月10日午前4時。漁の船が岬をかすめるように進み始めた静かにシャッターを下ろししばらく海に昇る天の川をみつめるこの時,自分が動いて,大切な祈りの静寂を壊してしまうことを恐れる人がひたすらに祈る姿は美しい今朝12日朝の河北…

3.11に寄せて

3.11に寄せて あの日を忘れない 3月10日撮影 画面水平線上真ん中に金星 写真は海から昇る天の川私にできることと言えば,ちょうど11年前もそうだったように昇ってくる天の川の写真を撮ることだと思って出かけた今日は実に多くの人の命日になる生きている私が…

芥川龍之介のこと7-宮城を訪れる-

芥川龍之介のこと7-宮城を訪れる- 芥川龍之介が宮城県蔵王青根温泉に来ていたということを全集の年譜で調べてみたあった「1920(大正9)年8月1日(日)~28日(土)宮城県青根温泉に避暑のため出掛ける」この時28歳の芥川龍之介は約1か月まるまる青根温泉…

芥川龍之介のこと5-宮城県青根温泉逗留一か月-

芥川龍之介のこと5 さんぽ道春の兆し 枝先に留まる光の量が多くなってきた 今朝2月4日撮影先回は28歳の芥川龍之介が大正9年8月まるまる宮城の青根温泉に避暑に来ていたこと。その青根温泉では「お律と子等」を苦しみながら執筆していたこと。その苦しみは彼…

芥川龍之介のこと6-上海-

芥川龍之介のこと6-上海- 伊豆沼立春夜景 2月4日2019年の大晦日に録画してから観るのを忘れていた芥川龍之介を描いたドラマ『ストレンジャー〜上海の芥川龍之介〜』をやっと観た。芥川龍之介を松田龍平が演じている。渡辺あやの作品である。演出は大河ドラ…