3.11に寄せて

3.11に寄せて

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あの日を忘れない 3月10日撮影 画面水平線上真ん中に金星 

写真は海から昇る天の川
私にできることと言えば,ちょうど11年前もそうだったように昇ってくる天の川の写真を撮ることだと思って出かけた

今日は実に多くの人の命日になる
生きている私ができることは亡くなっていった多くの人々の供養を行うこと,忘れないでいること。
だから毎年この海に来て供養の写真を撮る。
そして撮った写真を亡き人々に捧げる
それが私の供養の仕方なのだ

人に何かをしてあげたいという気持ちはこんな私にもある
命さえ捧げてもよい,自分はどうなってもかまわないという強くて真剣な祈りの気持ちは別に宮沢賢治だからでもなく,祈りが切実になるほどに人には湧き出てくる。それは生き残っている者が礼儀を尽くして死んだ人に対する供養を行うことと同義だからであろう。一所懸命である。

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3.11に寄せて

生き残った者のさみしさを感じる時に,私はよく建礼門院を思い出してみる。
おばあちゃんの平時子に抱かれて壇ノ浦の海に沈んでいった安徳天皇はまだ数え8歳であった。建礼門院(徳子)はその安徳天皇の母である。彼女は入水したところを源氏に捕らえられ,一族の供養を行うために59歳まで生きた。せめて夢の中ででも会いたいと思われた我が子も夢にすら現れることもなかった。ひたすら平家一門の供養に努めた。

昨年の私のブログに書いた震災の記事を元にたくさんのことを教えていただいた方がいた
今でも有り難いと思っている。

朝3時半を過ぎると夜の奥の色が白んできた
すると海の彼方から明けの明星,金星が威光を立てて昇ってきた
暗闇を終わらせようとする金星の鋭いほどの-4.5等の光は
やがて夜明け前の夜空を席巻していった
その時今年の3.11の日は大川小学校には行かず,自分一人で供養したいと思った
そして4分間バルブ撮影したシャッターを開放して撮影を終えた